太陽光発電 用語集
太陽光発電にには様々な専門用語が使用されています。
ここではその用語について簡単にですが説明していきます。
【あ行】
アレイ(あれい)
太陽電池モジュールを複数枚並べて接続したもの。
EPC(いーぴーしー)
EPCとは、Engineering(設計)・Procurement(調達)・Construction(建設)の頭文字を取った言葉。
太陽光発電所の設計、調達、建設の3つの業務を一手に担うことである。
インピーダンス(いんぴーだんす)
抵抗のことで、単位はΩ(おーむ)。太陽電池モジュールの抵抗を測定して数値で表す。
数値が小さいほど抵抗が小さく、多くの電流が流れる。逆に高くなると抵抗が高く、電流が流れにくくなる。
この数値で太陽電池モジュールのクラスタ故障も判る。
AC(えーしー)
Alternate Currentの略で日本語で交流のこと。
時間の経過とともに電気が流れる向きが変化、電圧がプラス・マイナス入れ替わる性質を持つ。
太陽光発電所でいうとパワーコンディショナの出力が交流であり、身近なところだと家庭用コンセントが交流である。
SPD(えすぴーでぃー)
Supply Processing and Distributionの略で、避雷器とも呼ぶ。
雷によって発生する過電圧や過電流を抑えて、機器を保護するための装置である。
用途によって電源用、通信用、LAN用などの製品がある。
仕様を超えた過電圧・過電流が流れると役目を終え故障してしまう。故障した状態で、再び過電圧・過電流が流れてしまうと、機器を保護することが出来ない。
SPDの故障状態は目視により確認が出来る。
MC4コネクタ(えむしーふぉーこねくた)
太陽電池モジュール同士や太陽電池モジュールとパワーコンディショナを接続する部品。
遠隔監視装置(えんかくかんしそうち)
発電所の稼働状況を遠隔地でもパソコンやスマートフォンから監視することが出来るシステム。
多くのメーカーから発売されており、モノによってはストリング単位で監視が出来たり1分単位で更新されたりと機能は様々である。
O&M(おーあんどえむ)
Operation(運用)&Maintenance(保守)の略である。
発電所の安定稼働を目的として下記のような項目がある。
運用:遠隔監視装置での監視業務・異常発生時の復旧対応・不具合品の修理対応など
保守:定期点検・草刈り・パネル洗浄など
【か行】
開閉器(かいへいき)
電路の開閉(ON/OFF)をする機器。
開放電圧(かいほうでんあつ)
太陽電池モジュールが無負荷(スイッチが開放(OFF))の状態で、電極+-の両端に発生する電圧のこと。
英語だとOpen-Circuit Voltageであり、Vocと略される。
回路(かいろ)
太陽電池モジュール同士を直列に接続した単位のこと。
ストリングと呼ぶこともある。
架台(かだい・がだい)
太陽電池モジュールを載せて固定する部材。
アルミニウムやスチールが主な素材である。
課題と区別するため「がだい」と呼ぶこともある。
逆潮流(ぎゃくちょうりゅう)
発電した電力が電力会社の設備(系統)へ流れていくこと。
逆潮(ぎゃくちょう)と略すこともある。
キュービクル(きゅーびくる)
正式名称はキュービクル高圧受電設備という。
発電容量が50kW以上(高圧)の太陽光発電所に必要な設備。
系統連系に必要な様々な機器(変圧器など)が格納されている。
クラスタ故障(くらすたこしょう)
太陽電池モジュールはセルという太陽電池が直列に接続され、複数のグループになっている。例えば、セルが60個ある太陽電池モジュールの場合、20セル×3グループに分かれており、この1グループをクラスタと呼ぶ。このクラスタが何だかの理由で故障してしまうことを、クラスタ故障(出力低下)モジュールと呼ぶ。
クラスタ故障の種類は①断線・②高抵抗化・③バイバスダイオードのショートである。いずれの故障も出力が低下し、メーカーの出力保証を受けられるケースが多い。
クラスタ断線(くらすただんせん)
クラスタ故障の一種。
インターコネクタやジャンクションボックス内の接合部が断線している状態であり、出力が低下する。
例えば、太陽電池モジュール1枚の開放電圧が30Vで1クラスタ故障していると、出力が10V(30V÷3)低下する。
また、インピーダンスが高くなるケースが多い。
系統(けいとう)
電力会社の配電線網のこと。
系統連系(けいとうれんけい)
電力会社の配電線網(系統)と太陽光発電設備を接続すること。
系統連系することで作った電気を電力会社へ売ることが出来る。
高圧(こうあつ)
発電出力が50kW以上、2,000kW未満の設備を指す。
高圧の太陽光発電所はキュービクルが設置されている。
自家用電気工作物に位置付けられ、電気主任技術者が必要である。
高抵抗化クラスタ(こうていこうかくらすた)
クラスタ故障の一種で、クラスタ断線が起こりかけている状態。
インターコネクタやジャンクションボックス内の接合部はハンダ付けされており、ハンダは気温や湿度の変化によって膨張や収縮を繰り返している。このため、測定するタイミングによっては正常に戻ったり高抵抗化したりする。
出力は低下せず、インピーダンスが高くなる。出力が低下しないため、テスターでは見つけることが出来ない。
交流(コウリュウ)
AC(Alternate Current)と同じ。
時間の経過とともに電気が流れる向きが変化、電圧がプラス・マイナス入れ替わる性質を持つ。
太陽光発電所でいうとパワーコンディショナの出力が交流であり、身近なところだと家庭用コンセントが交流である。
【さ行】
自家消費(じかしょうひ)
太陽光発電所で発電した電気を電力会社へ売るのではなく、自分の施設で全て使用すること。
ジャンクションボックス(じゃんくしょんぼっくす)
太陽電池モジュールの裏側にあり、この中にはバイパスダイオードと呼ばれる電子部品が格納されている。
また、このジャンクションボックスから+と-のケーブルが出ており、太陽電池モジュールを直列に接続する。
集中型パワーコンディショナ(しゅうちゅうがたぱわーこんでぃしょな)
大型のパワーコンディショナを少数設置する方法。セントラル型と呼ばれることもある。
メリットは発電効率の高さなどの性能が良く、設置やメンテナンスに掛かる工数が少ない。
デメリットは故障などの不測の事態が起きた場合に発電への影響が大きく、故障対応の際はメーカーの技術者が対応するため復旧まで時間が掛かるケースが多い。
集電箱(しゅうでんばこ)
直流集電箱/交流集電箱と2種類に分けられる。
直流集電箱はパワーコンディショナへ接続するために、複数の接続箱から直流の電気を集めてパワーコンディショナに流す役割がある。
交流集電箱はパワーコンディショナから出力交流の電気を集め、系統側に流す役割がある。
出力制御(しゅつりょくせいぎょ)
電力の需要と供給のバランスを保つために、発電所の出力を一時的に停止させたり抑えたりするよう電力会社が発電事業者に対して要請を行うことである。出力抑制ということもある。
出力制御が行われると発電した電気を売ることが出来ずに売電収入が減ってしまうが、需要と供給のバランスが崩れると大規模停電が発生したり、電子機器が故障する恐れがある。
瞬間発電量(しゅんかんはつでんりょう)
その瞬間の発電量がどのくらいあるかを表す数値のこと。
太陽光発電の発電量は日射の強さや気温、影の影響などに左右されるため、瞬間発電量は常に変わる。
ストリング(すとりんぐ)
太陽電池モジュール同士を直列に接続した単位のこと。
回路と呼ぶこともある。
積算発電量(せきさんはつでんりょう)
これまで発電してきた発電量を合計した数値のこと。
日毎、月毎、年毎、発電開始からのトータルなど様々な見方がある。
絶縁抵抗(ぜつえんていこう)
絶縁体(ケーブルなど)の電気の漏れにくさを表す。
絶縁抵抗が低くなると漏電し、火災や感電等の原因となる。
絶縁抵抗値が大きいほど安全である。
接続箱(せつぞくばこ)
太陽電池モジュールで発電された電気を集める箱。
ここに集まった電気をパワーコンディショナに送る役割がある。パワーコンディショナに送る前に集電箱(接続箱からの電気を集める箱)を経由することもある。
接地抵抗(せっちていこう)
発電設備と地面の間の抵抗を表す。
接地線(アース線)は、漏電している設備に触れてしまった際に感電を防ぐためにつけられている。
接地抵抗値が小さいほど安全である。
セル(せる)
太陽電池モジュールを構成する最も小さな単位。
セルの大きさは約10㎝四方と小さく、このセルを複数組み合わせて構成したものが太陽電池モジュールとなる。
最近はハーフカットセルの太陽電池モジュールも発売されている。
全量売電(ぜんりょうばいでん)
太陽光発電によって発電した電気を全てを電力会社に売却すること。
【た行】
太陽電池モジュール(たいようでんちもじゅーる)
太陽の光エネルギーを電気に変換する発電設備。
P型半導体とN型半導体を貼り合わせて作れていることが一般的。
単結晶モジュール(たんけっしょうもじゅーる)
原子が規則正しく配列され、不純物が少ないシリコンで作られた太陽電池モジュール。
純度の高い素材と高度な製造技術が必要なため、価格は高いが、発電効率が高い。
多結晶モジュール(たけっしょうもじゅーる)
単結晶を製造したときに出た端材などを使用して作られた太陽電池モジュール。
単結晶のように規則正しく並んでおらず様々な方向を向いている。
製造が容易なため、値段は安くなる。単結晶モジュールよりも発電効率が低くなる。
短絡(たんらく)
ショートと呼ぶこともある。
2つの相(線)もしくは3つの相(線)が負荷を通さずに接触した状態のこと。
電線の被覆が破れた状態で線同士が接触してしまうことなどが挙げられる。
とても大きな電流が流れるため、機器が焼損したり壊れたりする可能性もある。
蓄電池(ちくでんち)
字の通り、電気を蓄えられる機能を持ったもの。
太陽光で発電した電気を蓄電池に充電し、昼間に貯めた電気で夜に使用したり、災害などの非常時に使用する。
潮流(ちょうりゅう)
電力会社の設備(系統)から利用者側へ電気を流すこと。
順潮流と呼ぶこともある。
直流(ちょくりゅう)
DC(Direct Current)と同じ。
電気が流れる方向と電圧の大きさが一定という性質を持つ。
太陽光発電所でいうと太陽電池モジュールの出力が直流であり、身近なところだとスマホバッテリーや乾電池が直流である。
直列(ちょくれつ)
太陽電池モジュールの+端子、-端子をそれぞれ別の太陽電池モジュールに接続すること。
電圧が直列接続した分だけ増え、電流は変わらない。
例えば、1枚30V/5Aの太陽電池モジュールを5直列で接続すると、150V/5Aの出力となる。
地絡(ちらく)
電気が地面に接触して、大地に電流が流れる状態のこと。
低圧(ていあつ)
発電出力が50kW未満の設備を指す。
DC(でぃーしー)
Direct Currentの略で日本語で直流のこと。
電機が流れる方向と電圧の大きさが一定という性質を持つ。
太陽光発電所でいうと太陽電池モジュールの出力が直流であり、身近なところだとスマホバッテリーや乾電池が直流である。
電圧抑制(でんあつよくせい)
電圧が抑制されてしまうこと。電圧が抑制されると発電量も減ってしまう。
電気は高いところから低いところに流れる性質があるため、系統(電力会社)側の電圧より高くならないようにパワーコンディショナが一時的に電圧を抑制する仕組みとなっている。
電力会社との協議が必要にはなるが、設定を変更して電圧抑制が働きにくくなるよう調整することも可能である。
電力量計(でんりょくりょうけい)
電気の使用量を計測するための装置。
買電メーターと売電メーターの2種類がある。
買電メーターは一般家庭にも設置されているように、使用(電力会社から購入)した電力量を計測するもの。
一方、売電メーターは太陽光発電設備から電力会社へ売った電力量を計測するもの。
両方とも「ばいでん」と読むので、買電を「かいでん」・売電を「うりでん」と呼び区別することもある。
特別高圧(とくべつこうあつ)
発電出力が2,000kW以上の設備を指す。
略して特高(とっこう)と呼ぶこともある。
自家用電気工作物に位置付けられ、選任の電気主任技術者が必要である。
【は行】
配線用遮断器(はいせんようしゃだんき)
MCCB(Molded Case Circuit Breaker)と呼ぶこともある。
過電流や短絡が発生した際に電路を自動で遮断する。
バイパスダイオード(ばいぱすだいおーど)
ジャンクションボックス内に格納されている部品であり、不具合の起きたセルや影が掛かったセルをバイパス(迂回)して電気を流す機能を持つ。
バイパスダイオード短絡(ばいぱすだいおーどたんらく)
クラスタ故障の一種で、経年劣化や雷が原因と考えられる。
バイパスダイオードが短絡すると、正常に発電しているクラスタも迂回してしまうため、発電量が低下してしまう可能性が高い。
また、太陽電池モジュール内に短絡ループが発生するため、発熱や発火をしまう恐れもある。
ハーフカットセル(はーふかっとせる)
セル(太陽電池モジュールを構成する最も小さな単位)を半分にしたもの。
従来のセルより内部抵抗を低減することで発電効率が良いとされている。
バックシート(ばっくしーと)
太陽電池モジュールの裏側を保護するフィルムのこと。
パワーコンディショナ(ぱわーこんでぃしょな)
PCS(Power Conditioning System)と呼ぶこともある。
太陽電池モジュールで発電した直流の電気を交流の電気に変換する装置。
インバータ(直流を交流に変換する機器の総称)の一種である。
ヒューズ(ひゅーず)
電気回路に定格電流を超えるような過電流が流れた際に回路を遮断して設備を保護する部品。
過電流が流れるとヒューズが溶断して自動的に回路が遮断される。これを「ヒューズが切れる」「ヒューズが飛ぶ」などという。
ヒューズは溶断してしまうと役割を終えてしまい再利用することができないため、新しいものと交換する必要がある。
分散型パワーコンディショナ(ぶんさんがたぱわーこんでぃしょな)
小型のパワーコンディショナを多数設置する方法。ストリング型と呼ばれることもある。
メリットは故障した際に発電への影響が少なく、O&M業者で交換出来るケースが多い。
デメリットは設置する際の工数が増え、機器代、工事代ともに集中型に比べて大きくなるケースが多い。
並列(へいれつ)
太陽電池モジュールの+端子同士、-端子同士を接続すること。
電圧は変わらず、電流が並列接続した分だけ増える。
例えば、1枚30V/5Aの太陽電池モジュールを3並列で接続すると、30V/15Aの出力となる。
ホットスポット(ほっとすぽっと)
太陽電池モジュールの一部が発熱する現象のこと。
落ち葉などのゴミ・鳥フンや砂埃などの汚れ・雑草繁茂などが原因で影ができ、長時間発電が出来ない事によりホットスポットが発生する。発電量の低下だけではなく、火災の原因になる恐れもある。
【や行】
UPS(ゆーぴーえす)
UPS(Uninterruptible Power Supply)で日本語では無停電電源装置のこと。
停電や瞬時電圧低下などの障害時に、蓄電しておいたエネルギーを接続している機器に一定時間供給をし続ける装置。
太陽光だけではなく、データーセンターや病院など様々な場所で使われている。
余剰売電(よじょうばいでん)
太陽光発電所で発電した電気を自分の施設で使用し、余った分を電力会社に売ること。
【ら行】
漏電(ろうでん)
本来流れてはいけないところに電気が漏れ出る状態のこと。
火災や感電の恐れがある。
漏電遮断器(ろうでんしゃだんき)
ELB(Earth Leakage Circuit Breaker)と呼ぶこともある。
漏電が発生した際に電路を自動で遮断し、感電事故や火災を防ぐ役割がある。