太陽光発電所で起こる不具合
日々点検・メンテナンスを行っていると、太陽光発電所では様々な不具合を目にする。
今回はその不具合の種類について書いていこうと思う。
大きく分けると以下4つの不具合に分かれる。
1.太陽電池モジュールの不具合
2.パワーコンディショナの不具合
3.外的要因による不具合
4.その他の不具合
次にそれぞれの不具合の詳細について記載する。
1.太陽電池モジュールの不具合
1-1.クラスタ故障(出力低下)モジュール(※以下、クラスタ故障モジュール)
このクラスタ故障モジュールは3つの故障の種類がある。
①断線
②高抵抗化
③バイバスダイオードのショート
詳しい説明は後日改めて投稿しようと思うが、いずれの故障も出力が低下し、メーカーの出力保証を受けられるケースが多い。この出力保証とはメーカーが一定期間に渡って一定の出力を下回った場合にメーカーの責任で該当の太陽電池モジュールの交換や修理を実施してくれるものである。メーカーによって保証期間は異なってくるが、10年~20年のものが多くなっている。定期的に点検をすることで、保証期間が切れる前にクラスタ故障モジュールが無いか確認することが出来る。
保証を受けるには、メーカーが提示した故障を示す点検結果(開放電圧、インピーダンス測定・IR測定等)の提出が必要なる。correctではこれらの点検も実施可能であり、保証を受けるためのお手伝いも出来る。
1-2.ガラス割れモジュール
表面ガラスが割れてしまっている太陽電池モジュールも度々目にする。
カラスが上空から石を落として遊ぶ…というように鳥獣による悪戯で割れるケース(この場合、打痕が残る)や打痕がなく製品不良により熱膨張が起き割れてしまうケースがある。
いずれにしても、この割れモジュールを放置しておくと、二次災害につながる恐れもある。絶縁抵抗値が低下しPCSが停止してしまったり、割れた箇所が異常に発熱し最悪の場合は火災に繋がったり…定期的に目視による点検も実施し、二次災害を未然に防ぐことが重要である。
2.パワーコンディショナの不具合
パワーコンディショナの不具合も様々である。
設置から年月が経ち、基盤故障やファンの故障によりPCSが停止してしまったケースが目立つ。
ヒューズ切れや直流ブレーカーの故障により、回路単位で発電に寄与していないということもある。
また、故障ではないもののフィルタが汚れで目詰まりしてしまい、内部温度が上がると運転が停止してしまうケースもある。PCSは直流から交流に変換するための機器で、この際に熱を発する。そのため、吸排気することでPCS内の温度が上がりすぎないようにしている。発電所の設置環境によっては、半年でフィルタが真っ黒になるほど目詰まりすることもあり、定期的に掃除をすることが重要であると考える。
3.外的要因による不具合
近年の異常気象で太陽光発電所にも様々な不具合が起こっている。
・雹により表面ガラスが粉々に割れてしまった太陽電池モジュール
・突風により飛散してしまった太陽電池モジュール
・台風により近隣土地からの倒木があり、太陽電池モジュールや架台に影響が出たケース
・豪雨により地盤が削られて杭が露出してしまうケース
・落雷により太陽電池モジュール、ケーブル、接続箱、PCSなど様々な機器が焼損してしまうケース
・大雪により太陽電池モジュールや架台に影響が出たケース
これらの不具合を放置しておくと、二次災害に繋がる恐れもある。
自然災害が起きた際には安全が確認され次第、可能な限り早く現地を点検することで二次災害防止になる。
4.その他の不具合
その他の不具合として最も訴えたいのが雑草による発電量低下である。
近年の気温上昇も手伝うのか雑草繁茂の勢いが凄まじい。雑草が影を作り、発電量の低下に繋がってしまう。
人の背丈を超えた雑草が生えてしまった発電所で、草刈り前/後の状況を作ってPCSの瞬間発電量を確認したところ、草刈り後のPCSは草刈り前のPCSの2倍の発電量が出ていた。
また、近年急増しているのがケーブルの盗難被害である。セキュリティを入れていたり、住宅街の近くにある発電所も被害に遭うケースがある。防犯カメラを設置したり、ケーブルを盗りにくくするための工夫をしていく必要がある。
初回から色々と書いてしまったが、次回以降は具体的な事例なども含めて書いていこうと思う。